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A.P.C. アー・ペー・セー

アー・ペー・セー(A.P.C.)は、1987年にジャン・トゥイトゥが設立したブランドで、彼は1951年にチュニジアで誕生している。パリのソルボンヌ大学言語学歴史学を学んでおり、卒業後には南米を旅している。1977年に帰国した後は、パリのケンゾーに入社しており、倉庫係からのスタートであった。その後にアニエスベーを経て、同僚の入江末男と共にIRIE(イリエ)を設立している。そして、1986年にメンズブランドのアーペーセーをパリで発表することになる。A.P.Cのブランドネームは、Atelier de Production et de Creation(生産と創造の工房)に由来している。デザイナーの名前を服のデザインに結び付けない意図が込められており、製品の品質重視の姿勢が表れている。デザインのベースはフレンチベーシックで、機能的ファッションを基本としている。それに加えて、反骨的な精神のある、ストリートを意識した仕上がりが特徴となっている。

■特徴
アー・ペー・セー(A.P.C.)のファッションアイテムは、天然繊維を素材として重んじており、脱個性的であるとともに、着る人の個性が最大限に引き出される特性を持っている。1988年にはレディースラインをスタートさせており、カタログ通信販売のV.P.C.を開始している。2003年には、ジェシカ オグデンとのコラボレーションを手がけており、2010年に、ウェス・アンダーソン監督の映画『ファンタスティック ミスターフォックス』とパートナーシップを結んでいる。アー・ぺー・セーのブランド展開は幅広く、メンズやレディースに留まらず、CDやキャンドル、そしてオリーブオイルやセレクトアイテムに及んでいる。中でも、財布やバッグ、そしてアクセサリーには当ブランドのセンスが光っている。A.P.C.は2018年に春夏コレクションを発表しており、日常を彩るフレンチシックの魅力が発揮された。それに先立つ2017−18年秋冬コレクションでは、縫うことで個性が引き立つベーシックウェアが発表されている。

■歴史
アー・ペー・セー(A.P.C.)のデニムは、根強いファンを有しており、リピーターも多くなっている。特に、ニュートラルとオリジナル感が調和したデザインとなっており、程よい定番感が醸し出されている。素材には綿100パーセントのストレッチが採用されていることも、機能性重視の姿勢の表れとなっている。その他、ウエストベルトのタグレスやヒップポケットのステッチレスなど、細かい配慮がなされているのが特徴となっている。通常のジーンズでは、専業ブランドからメゾンブランドまで多岐にわたっているが、同じブランド内でもタイプの細分化が進んでいる。選択肢が多いことの反面、モデルやブランドによって、品質にもバラツキが生じる傾向にある。一方、A.P.C.ジーンズはどのタイプも品質が安定しているのが特徴である。

■デザイナー
アー・ペー・セー(A.P.C.)の魅力は、そのニュートラル感にあり、中立的なブランドイメージが高い支持を受けている。若い世代は自己主張の強いファッションに惹かれるが、30代を過ぎると素材やシルエットにこだわりつつ、過度なファッションアピールを避けるようになる。そうした点において、A.P.C.の持つニュートラルなブランドイメージは、時代の流行り廃れに影響されない定番性を持っている。特に、当ブランドが展開するデニムは、アメカジをはじめ、イタリアカジュアルやフレンチカジュアルにも馴染むフラットさを有している。しかも、ニュートラル感を残しながらも、しっかりとオリジナル性を感じさせるのが、大きな魅力となっている。

■商品ラインナップ
アー・ペー・セー(A.P.C.)の定番性は、定期的に求められるマイナーチェンジを経た上で、常に新鮮なデザイン性を実現している証である。それは、集合した知恵の結晶化でもあり、多くの熟達したファッション愛好家を虜にしている。アー・ぺー・セーと同価格帯のブランドには、頻繁にデザインを変更するものも多いが、ユーザー目線からは追いつけない部分がある。一方、A.P.C.のアイテムは、履きつぶしてリピートしても、それまでのデザインと殆ど変わらないのが特徴となっている。マイナーチェンジの幅が狭いので、気に入ったデザインのファッションを長く楽しめるのが大きな魅力である。その背景には、品質の良いものを長く使い続ける、中堅世代の特徴がある。

■日本での活動
アー・ペー・セー(A.P.C.)のデニムは、キャッチーで高級感を持たせた仕様が特徴で、シルバーボタンやシルバーリベットが採用されている。一般的なデニムでは、銅色のリベットが用いられているが、A.P.C.では銀色が採用されている。定番なデザインながらも、ポイントを押さえて新鮮な工夫が凝らされており、その分、手間やコストをかけている。それ故、一目で当ブランドの製品だということが分かり、さりげないオシャレ感が演出されている。シルエットに関しても、やや細身のデザインになっており、生地の厚みや素材に関しても、オリジナルなオーセンティックデザインが意識されている。それによって、現代風の洗練されたシルエットが実現しており、A.P.C.ジーパンの原点に立ち戻ったオリジナリティも兼ね備えている。