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RING JACKET リングヂャケット

ジャケットやスーツといえば、イタリアや英国といった本場のブランドが有力な選択肢でもあり、注目を浴びがち。しかし、日本にも本場ブランドに負けないクオリティーをもつファクトリーブランドがあるのをご存知でしょうか?その名は「リングヂャケット(RING JACKET)」。洋服好きな男性には「何をいまさら..」と言われてしまいそうで怖いですが、今回はあらためてリングヂャケットの魅力に迫っていきたいと思います。

 

1954年に大阪で創業された国内屈指のスーツ工場の放つ、テーラードのみに特化した国産ファクトリーブランドです。「注文服のような着心地の既製服」を掲げるだけあり卓越した職人技術、最新機械技術、良質素材へのこだわりは世界屈指。業界内でも高い評価が集まり、国内有力セレクトショップからの製造委託や別注が後をたちません。ちなみに、リングヂャケットの創業者と盟友であったヴァンヂャケットの創業者である石津謙介氏が命名したことから「ジャケット」ではなく「ヂャケット」というのが正しい標記。

 

日本人をはじめとする東洋人の体型の特徴の一例として、身体の背面よりも前面の筋肉が発達しているので肩が前方に出ているという傾向があります。そんな体型にフィットするように背中側に大きく生地をとり前面にかけては狭めの生地を組み合わせることでバランスをとったデザインに仕上げています。

 

スーツやジャケットの仕立ては、もともと2次元的な生地を立体的な人間の身体にあわせて、カット、縫製していくので箇所によっては当然、不要なクセやシワが入ってしまいます。スーツの仕立てにおける宿命ともいえる難しいポイントですが、熟練の職人によるアイロンワークを取り入れながら縫製していくことで立体的で美しい仕上がりになっていくというわけです。例えば、美しいドレープや芯地なしでもふんわりと返るラペル、肩口から首もとまで自然に上昇するラインなどは、高度なアイロンワークいわゆる「焼き」の技術によって完成するディテールです。地味な工程に聞こえますがアイロンワークこそスーツの仕上がりをキメるといっても過言ではない重要な工程です。リングヂャケットのアイロンワークへのこだわりは半端ではなく、他メーカーが手を抜いてしまいがちなポイントにまで徹底して仕事をこなす強みがあるといいます。

 

イギリスブランドのスーツのように構築的で、良い意味で威圧感を与えるスーツも魅力ですがリングヂャケットが特に得意とするのは、イタリア・ナポリのジャケットのようにソフトで丸みのある軽いジャケット。それがディテールとして現れるポイントの一つがショルダーの仕上げです。以前から肩パッドなしのモデルが多かったリングヂャケットですが、2016春夏から既製品に関してはすべてのモデルで肩パッドなし仕様に。肩パッドなしジャケットの中でもナチュラルな雰囲気たっぷり、イタリアスーツの十八番「マニカ・カミーチャ(雨降り袖)※」を1980年にイタリアの縫製工場直伝でマスター。いまではリングヂャケットの得意技のひとつになっています。

 

イタリアブランドのスーツやジャケットといえば「ラルディーニ」「ボリオリ」「タリアトーレ」あたりのブランドが日本ではポピュラーですが、そんなブランドを含むイタリアブランド通の間でも「リングヂャケット」は一目置かれる存在。すでにアジア圏やアメリカ圏を中心に海外展開も進みつつあるブランドではありますが、未展開の地域に住む西洋人の中にはリングヂャケット欲しさに、日本から輸入したり、来日するという人も少なくありません。人気の秘密は、高い品質に対する圧倒的なコストパフォーマンスの良さにあります。海外のネット掲示板には「値段を見てぶったまげた!この生地とクオリティでこの値段は近いものすらない。ブルネロ・クチネリの3倍位の値段がするぞ。」「日本の”スーツ文化”は強大だからお値打ちなスーツが買いやすいんだ。」日本人として誇らしくなるようなコメントが数多く掲載されているそうです。